盗品を買い取ってしまった時の対応!警察への届け出義務と罰則
古物商として営業する以上、どれだけ注意を払っていても、意図せず「盗品」を買い取ってしまうリスクはゼロではありません。
古物商は、盗品の流通を防止するという社会的な使命を負っており、古物営業法では、盗品や不正品である疑いがある古物を発見した場合、警察への届け出を義務付けています。
この義務を怠ると、古物営業法違反として罰則の対象となるだけでなく、被害者への賠償責任も問われる可能性があります。
本記事では、万が一、盗品を買い取ってしまった場合の古物商の取るべき対応と、法律上の届け出義務について、行政書士が詳しく解説します。
1. 盗品・不正品を発見した場合の古物商の義務
古物商は、古物営業法第15条により、以下の義務を負っています。
義務①:警察への「申告」義務(届け出)
買い取った古物、または持ち込まれた古物が「盗品、又は遺失物(落とし物)である疑いがある」と判断した場合、古物商は直ちにその旨を警察官に申告しなければなりません。
- 「直ちに」とは?:疑念を抱いたその時、速やかに警察(生活安全課または最寄りの交番)に連絡することを意味します。
- 古物台帳との照合:特に、本人確認をきちんと行っていない取引、または価格相場からかけ離れた不自然な取引について、警察は台帳記録と照合して確認を行います。
義務②:売買取引の一時停止(仮に買い取ってしまった場合)
盗品の疑いが晴れるまで、その古物を第三者に販売・譲渡してはいけません。
- 警察官から、その古物を30日間留置する(手元に保管しておく)ように命じられることがあります。これは、被害者がその古物を確認したり、被害届を出すための時間的猶予を確保するためです。
2. 盗品を買い取ってしまった場合の具体的な対応フロー
盗品の疑いがある古物、または警察から盗品として連絡があった場合の対応フローは以下の通りです。
ステップ①:直ちに警察に申告する
取引を中断、または買い取り後に気づいた場合は、速やかに管轄の警察署の生活安全課に連絡し、以下の情報を提供します。
- 古物の特徴(品目、型番、製造番号など)
- 相手方の情報(古物台帳に記録された住所、氏名、本人確認方法など)
- 取引日時と場所
ステップ②:古物を手元に留め置く
警察官から留置を命じられた場合、その古物を他と区別し、30日間は絶対に外部に持ち出したり、売却したりしてはいけません。
ステップ③:被害者への返還(無償返還義務)
盗品であることが確定し、被害者(本来の持ち主)からその古物の返還を求められた場合、古物商には「無償返還義務」が発生します。
- 無償返還義務の原則: 原則として、古物商は対価(買い取り代金)の弁償を求めることなく、無条件で被害者に古物を返還しなければなりません。
- 例外(例外規定): ただし、古物商が善意(盗品だと知らずに)で買い取り、かつ過失がなかったことを証明できた場合、盗品の売主(犯人またはその関係者)が逮捕され、被害者への弁済が不可能な場合に限り、被害者に対して買い取り代金の一部を請求できる可能性があります。(ただし、この例外適用は非常に厳格で、専門家の判断が必要です)
3. 盗品が絡む場合の古物商の責任と罰則
罰則(義務違反)
盗品の疑いがあるのに警察に申告しなかったり、台帳に虚偽の記載をした場合、古物営業法違反として6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
損害賠償責任(民事)
- 古物商が盗品を善意で買い取っていたとしても、被害者は古物商に対して民事上の損害賠償責任(古物の価値の弁償)を求める訴訟を起こす場合があります。
4. リスクを最小限に抑えるための対策
盗品リスクを回避するために、古物商は以下の点を徹底しなければなりません。
- 本人確認の徹底: 相手方の身分証明書と、古物台帳の記載内容を厳密に照合し、不審な点があれば取引を拒否する。
- 不自然な取引の拒否: 相場からかけ離れて安すぎる、売主が急いでいる、商品の出所を曖昧にするなどの不審な点がある場合は、取引を拒否する。
- 古物台帳の正確な記録: 盗品であった場合に、速やかに売主を特定できるよう、台帳を正確かつ最新の状態に保つ。
5. 盗品対応・コンプライアンスは行政書士へ
盗品を扱ってしまった場合の対応は、古物営業法と民法が複雑に絡み合い、判断が非常に難しくなります。
万が一、警察からの連絡や被害者からの請求があった場合、法的リスクを最小限に抑えるためには、初期対応が極めて重要です。
当事務所では、古物商が安心して事業を継続できるよう、盗品対応マニュアルの作成指導や、法令遵守体制の構築に関するサポートを提供しています。不安がある場合は、警察への申告前に一度ご相談ください。
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