賃貸マンション・アパートを営業所にできる?
自宅を拠点として中古品ビジネスを始めたい方にとって、古物商許可を申請する場合、「営業所」の問題が出てきます。
賃貸マンションやアパートを営業所にしたい場合、ハードルとなるのが「大家さんや管理会社の承諾」です。
本記事では、賃貸物件を古物商の営業所にするための要件と、「大家さんの承諾の壁」をクリアするための具体的な対処法について、行政書士が詳しく解説します。
1. 賃貸物件を営業所にするための基本要件
古物商許可の申請において、「営業所」として認められるためには、以下の要件を満たし、古物取引の拠点であることを証明できなければなりません。
① 古物取引の拠点として使用できること
古物営業所は、古物の取引や保管、事務作業を行う実態のある場所でなければなりません。
ただし、ネット販売(ECサイト)がメインの場合、自宅を「事務作業を行う拠点」として申請することは可能です。この際、「顧客を頻繁に招き入れて取引をする予定はない」ことを警察に明確に伝えられるように準備しておきましょう。
② 営業所として使用する「権原(けんげん)」があること
これが賃貸物件の場合の核心です。「権原」とは、その場所を営業所として使う法的な権利があることです。
- 持ち家の場合: 申請者自身の所有物なので問題ありません。
- 賃貸物件の場合: 賃貸借契約書に基づき、貸主(大家さん)が「古物営業所の使用」を許可している必要があります。
2. 「大家さんの承諾」が必要な理由
賃貸マンションやアパートの契約書には、通常、「住居専用」の条項が記載されています。
この「住居専用」の物件で古物営業を始めようとする場合、警察は「古物営業所の使用承諾」があるかどうかを聞いてくることがあります。
なぜ大家さんの承諾が必要なのか?
- 契約違反の防止: 勝手に事業を始めると、賃貸借契約の「住居専用」条項に違反し、最悪の場合、契約解除の原因になるため。
- 近隣トラブルの予防: 頻繁な来客、古物の搬入・搬出、在庫の増加などが、他の住民に迷惑をかける可能性があるため、事前に貸主の許可が必要とされます。
- 警察による現地確認: 警察が申請後に営業所の実態確認(現地調査)を行う際、貸主とのトラブルがない状態であることを確認したいからです。
3. 「承諾の壁」をクリアするための具体的な交渉術
大家さんや管理会社に「古物商を始めたいので承諾書をください」と伝えるだけでは、断られてしまうケースがあります。以下のポイントを押さえて交渉しましょう。
① 業務内容の「透明化」と「限定」
- NGな伝え方: 「リサイクルショップを開業します。」
- OKな伝え方: 「インターネット販売のみの事務作業拠点として使います。来客や古物の頻繁な出入りは一切ありません。保管する古物も、生活に支障のない範囲(小さな段ボール数個分)に限定します。」
② 警察による現地調査の可能性を伝える
警察が立ち入り調査を行う可能性があることを隠すのは厳禁です。正直に伝え、「警察が確認に来るかもしれませんが、近隣にご迷惑をおかけするものではありません」と説明することで、信頼を得られることがあります。
③ 承諾の代替案を検討する
大家さんが承諾そのものの発行を渋る場合、以下の代替案を検討してください。
- 賃貸借契約書の「使用目的」を追記・変更する(ただし、家賃の値上げ交渉になる可能性もある)
- 管理会社から「古物営業を行うことを把握している」旨の書面を取得する(警察によってはこれで代替できる場合がある)
4. 賃貸物件の契約書をまず確認してください
承諾の要否は、現在の契約書に記載されている内容によって大きく異なります。
| 契約書の使用目的欄 | 古物営業の可否 | 警察が求める対応 |
| 住居専用 | 原則不可 | 大家さんの承諾がほぼ必須 |
| 住居兼事務所 | 可能 | 契約書そのものを提出(承諾書不要のケースが多い) |
| 事務所専用 | 可能 | 契約書そのものを提出(承諾書不要) |
5. 交渉が難しい場合は行政書士にご相談ください
大家さんとの交渉はデリケートな問題であり、一度断られてしまうと再交渉は困難です。
行政書士にご依頼いただければ、お客様の賃貸借契約書の内容を精査し、警察と事前に協議を行い、「承諾書が必要か」「どのような書面であれば代替可能か」といった判断を正確に行います。
不確実な状態で申請を行い、不許可になるリスクを回避するためにも、ぜひ専門家にご相談ください。
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古物商許可専門の行政書士
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