古物商許可の「営業所」とは?自宅でもOK?賃貸・バーチャルオフィスの注意点
古物商許可を取得する際、申請書に必ず記載しなければならないのが「営業所の所在地」です。
- 「わざわざ専用のオフィスを借りる必要があるのだろうか?」
- 「自宅マンションの一室でも申請できるのだろうか?」
- 「コストを抑えるためにバーチャルオフィスを使いたいが大丈夫か?」
このように、「営業所」の要件について疑問や不安を抱えている方は多いでしょう。
営業所の選定は、許可申請における重要なポイントの一つであり、要件を満たしていないと不許可の原因になりかねません。
本記事では、古物商許可を専門とする行政書士が、古物営業法における「営業所」の定義から、自宅・賃貸物件・バーチャルオフィスを使う際の具体的な注意点と対策を徹底的に解説します。
拠点選びで失敗しないためのポイントを押さえ、スムーズに許可を取得するためにも、ぜひ最後までお読みください。
古物営業法における「営業所」の定義と役割
古物営業法では、古物商の業務に関する事務作業を行う拠点を「営業所」と定めています。
営業所の主な役割
古物商許可における営業所には、主に以下の役割が求められます。
- 管理者の常駐場所: 古物取引の責任者である「管理者」が常勤し、事務を行う場所。
- 帳簿・書類の保管場所: 法律で義務付けられている「古物台帳」などの重要書類を保管する場所。
- 警察の監督対象: 盗品の流通防止のため、警察が立ち入り調査や確認を行う際の拠点。
これらの役割を満たすために、営業所は「実態を伴った固定された場所」である必要があります。
営業所は必須?
古物商許可の申請は、営業所を管轄する警察署に対して行います。したがって、営業所がないと申請自体ができません。
古物取引はインターネット上で行う場合でも、必ず事務作業の拠点(営業所)を定める必要があります。
自宅を「営業所」にする場合の注意点と対策
最もコストを抑えられるのが自宅を営業所にするケースですが、以下の2つの大きなハードルがあります。
注意点① 賃貸物件の場合:「使用承諾」が必須
- 賃貸契約の確認: 賃貸マンションやアパートの場合、契約書で「住居専用」となっており、事業利用(古物営業)が禁止されているケースがほとんどです。
- 対策: 書面による使用承諾書はなくても申請は受理されますが、トラブルを避けるために、オーナーや管理会社に古物営業をすることの承諾を得ておきましょう。
注意点② 居住スペースとの明確な区別
- 警察のチェック: 警察は、営業所が事業目的で適切に使用される場所であるかを確認します。特に自宅の場合、居住スペースと事業スペースの区別が求められる場合があります。
- 対策:
- 見取り図の提出: 申請書類として、営業所内の見取り図を作成し、事務机、パソコン、書類棚など、事業に使うエリアを示しましょう。
- 実態の伴う配置: 申請後、警察官が営業所の実地調査に来る可能性があるため、事業に必要な設備(鍵のかかる保管庫など)が整っているように準備しておく必要があります。
バーチャルオフィスは「営業所」として認められるか?
初期費用を安く抑える手段として検討されがちなバーチャルオフィスですが、古物商許可の営業所としては原則として認められません。
認められない理由
バーチャルオフィスは、法人登記や郵便物の受取サービスを提供しますが、物理的な事務所スペースや管理者が常駐できる固定された場所がありません。
古物営業法が求める「営業所」は、警察が立ち入り検査をし、古物台帳などの重要書類を確認できる実体的な場所でなければならないからです。
認められる「シェアオフィス・レンタルオフィス」との違い
例外的に認められる可能性があるのは、以下のような「物理的な実態」がある場所です。
| 種類 | 認められやすさ | 理由 |
| バーチャルオフィス | 原則不可 | 郵便受け取りのみで、固定された執務スペースがないため。 |
| シェアオフィス | 要確認 | 固定ブースや専用デスクがあり、管理者が常駐できる実態があれば認められる場合がある。 |
| レンタルオフィス | 認められる可能性が高い | 個室(施錠可能)があり、独立した事務スペースとして機能するため。 |
失敗しない営業所選びのために行政書士にご相談を
営業所の適格性の判断は、個々の警察署や担当者によって見解が分かれることがあります。
行政書士に相談すべき理由
- 警察署との事前調整: 行政書士は、申請前に管轄の警察署の生活安全課と事前に協議し、その営業所が認められるかどうかの判断を仰ぐことができます。
- 書類作成のサポート: 賃貸契約書、使用承諾書、見取り図など、警察が納得する形式で書類を準備するノウハウがあります。
- 無駄な費用回避: 「バーチャルオフィスを契約したのに使えなかった」といった無駄な契約費用を払うリスクを回避できます。
古物商許可の申請において、営業所は事業の基盤となる場所です。「この場所で本当に大丈夫だろうか?」と少しでも不安を感じたら、自己判断せずに当事務所にご相談ください。
当事務所は、古物商許可に精通しており、お客様の事業形態に合わせた最適な拠点選びと、確実な許可取得をサポートいたします。
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