古物商許可の申請から取得までの全手順:いつ、何を、どうする?
中古品を取り扱うビジネスを始める上で、「古物商許可」の取得は法律上の義務です。
いざ申請しようと思っても、警察署での手続きや膨大な書類集めに、「何から手をつけて良いか分からない」「どれくらい時間がかかるのか?」と不安になる方は多いでしょう。
無計画に始めると、書類の不備で何度も警察署に足を運んだり、審査期間が長引いたりして、ビジネススタートが遅れてしまう可能性があります。
本記事では、古物商許可の申請を専門とする行政書士が、許可取得までの全プロセスを【準備・申請・取得】の3ステップに分けて、徹底的にわかりやすく解説します。
【ステップ0】申請前に必ず確認すべきこと
まずは、申請手続きに入る前に、あなたが古物商許可を取得する資格があるかどうかを確認しましょう。
欠格事由チェック
古物営業法では、以下のような条件に該当する場合、許可を取得できない「欠格事由」と定められています。
- 犯罪歴がある: 禁錮以上の刑、または特定の犯罪(窃盗、背任など)により罰金刑を受けてから5年を経過していない。
- 成年被後見人・被保佐人: 判断能力が不十分であると法的に認められている人。
- 過去に古物商許可を取り消された: 取り消されてから5年を経過していない。
- 暴力団員またはそれに準ずる者: 事業への関与が認められる場合。
法人の場合は、役員全員と管理者がこの欠格事由に該当しないことが必要です。
営業所の確保と要件
古物商許可では、「営業所」の所在地を届け出る必要があります。
- 営業所の定義: 中古品の仕入れ、販売、事務作業を行う拠点。
- 自宅兼営業所の場合の注意点:
- 賃貸物件の場合: 以前は大家さん(オーナー)や管理会社の「書面による許可」が必要でしたが、現在は書面による承諾書は原則不要です。しかしながら、トラブルを避けるために、オーナーや管理会社にビジネスをすることを伝えておくのが望ましいです。
- 明確な区別: 図面上、住居スペースと事業スペース(パソコンや書類を置く場所)を明確に区分できることが望ましいです。
【ステップ1】申請に必要な「書類集め」を始める
申請手続きの中で、最も時間と手間がかかるのが、公的機関を回って書類を集める作業です。
| 書類名 | 取得先 | 備考 |
| 住民票 | 住所地の市区町村役場 | 本籍地(外国人の方は国籍等)が記載されているものが必要。 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村役場 | 運転免許証のことではありません。破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないことの証明です。 |
| 履歴事項全部証明書 | 法務局(支局や出張所でもOK) | 法人が申請する場合に必要です。現在事項証明書ではない点に注意してください。 |
特に「身分証明書」は、本籍地まで出向く必要があるため、遠方の方は郵送請求の手続きが必要です。
【ステップ2】「申請書」作成と警察署への提出
公的書類が揃ったら、いよいよ警察に提出する申請書を作成し、提出します。
申請書類の作成
集めた公的書類の内容と矛盾がないよう、細心の注意を払って以下の書類を作成します。
- 許可申請書 氏名、住所、営業所の情報、そして扱う古物の品目(13品目)を正確に記載します。
- 【重要】品目の選定: 一度定めた品目を後から追加・変更する場合、再度届出が必要です。将来的に扱う可能性がある品目は、漏れなく記載すべきです。
- 誓約書 欠格事由に該当していないことの誓約書です。
- 略歴書 過去5年分の職歴を記載します。無職期間がある場合も正直に記入します。
管轄の警察署への事前相談と申請
書類がすべて揃ったら、以下の手順で警察署に提出します。
- 申請先の確認: 申請する営業所を管轄する警察署の生活安全課(または防犯係)が窓口です。
- 事前予約: 事前に警察署へ電話し、相談・提出日時を予約するとスムーズな申請が可能です。
- 提出と手数料の支払い: 申請書類一式を提出し、法定手数料19,000円を支払います。
- 【注意】 この手数料は、申請が不許可になった場合でも一切返金されません。
【ステップ3】警察の審査と許可証の交付
申請書を提出したら、いよいよ審査期間に入ります。
警察による審査(標準処理期間:約40日)
- 警察は提出された書類に基づき、申請内容に虚偽がないか、申請者や管理者が欠格事由に該当しないかなどを審査します。
- 実地調査(立ち入り検査)の可能性: 警察官が申請された営業所を訪問し、事業を行う環境が整っているか(特に自宅兼営業所の場合)を確認する場合もあります。
許可が下りたら通知・許可証の交付
- 審査が完了し許可が下りると、警察署から連絡が入ります。
- 許可証の受け取り: 警察署に出向き、古物商許可証を受け取ります。この「許可証」を受け取った日から、あなたは正式に古物商として営業を開始できます。
許可取得後の義務
許可証を取得したら、古物商としての義務が発生します。
- 古物台帳の備え付け: 買取や仕入れ、販売の記録を法律の定め通りに記載する帳簿を備え付け、取引の度に記録します。
- 標識の掲示: 営業所内の見やすい場所に古物商であることの標識を掲示します。
まとめ
古物商許可の取得は、「欠格事由に該当していないことの確認 → 書類収集、作成 → 申請 → 許可証受け取り」という流れになります。
書類の収集や申請は、平日の日中に時間を取る必要があります。
本業で忙しい場合は、行政書士に依頼するのも良いでしょう。
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