本人確認義務(非対面取引)のやり方!ネット買取の必須知識

ネットオークションやフリマアプリでの買取(ネット買取)は、場所を選ばず古物を仕入れられる便利な手法ですが、実店舗での対面取引とは異なり、古物営業法に基づく本人確認義務が非常に厳格になります。
古物商許可を取得した事業者が、顔を合わせずに古物を買い取ることを「非対面取引」と呼びます。非対面取引における本人確認を怠ったり、方法を誤ったりすると、古物営業法違反となり、罰則の対象となります。
本記事では、ネット買取を安全に行うために必須となる「非対面取引の本人確認義務」の正しいやり方と注意点について、行政書士が詳しく解説します。


1. 非対面取引で本人確認が厳格になる理由

古物商許可制度の目的は、盗品の流通防止です。対面取引では、古物商が相手方の顔や態度を確認し、身分証明書と照合することで不正を抑止できます。
しかし、ネット取引ではそれができないため、法律は以下のいずれかの方法で、「相手方が実在すること」および「申告された住所・氏名が正しいこと」を二重に確認することを求めています。


2. 非対面取引における本人確認の主な方法(4つの選択肢)

古物商がネットで古物を買い取る際、以下のうちいずれか一つの方法を必ず実行しなければなりません。

方法①:確認書類の送信+銀行口座への振り込み

これが最も一般的な方法です。

  1. 確認書類の送信: 相手方から、運転免許証などの本人確認書類(顔写真付きが望ましい)の画像を電子メールなどで送信してもらう。
  2. 口座振込: 買い取り代金を、相手方名義の金融機関の口座に振り込む。

💡 ポイント: 相手方の身分証明書の氏名と、代金を振り込む銀行口座の名義が一致していることが必須です。これにより、なりすましを防ぎます。

方法②:確認書類の郵送+現住所への転送不要郵便

  1. 確認書類の郵送: 相手方から、本人確認書類のコピーを古物商の営業所へ郵送してもらう。
  2. 住所確認: 古物商が、相手方に対し、「本人限定受取郵便」または「書留・特定記録郵便(転送不要)」で書類などを送付し、その住所で相手方が確実に受け取れることを確認する。

💡 ポイント: 転送不要郵便を利用することで、申告された住所に現在も居住していることを確認できます。

方法③:電子署名または電子証明書

公的な電子証明書(マイナンバーカードなどに格納されている電子署名用証明書など)を用いて、相手方の本人確認を行う方法です。高いセキュリティが確保できますが、相手方が電子署名に対応している必要があります。

方法④:対面での本人確認と同一の方法

最初の取引に限って、古物商が相手方の自宅などに出張し、対面で本人確認を行う方法です。(出張買取サービスなどで利用されます。)


3. 本人確認を確実に行うための注意点

注意点①:写真付きの確認書類を求める

非対面取引では、相手が本当にその本人であるかを確認しづらいため、できる限り「運転免許証」「マイナンバーカード」など、顔写真が添付された公的書類の画像を求めてください。健康保険証や年金手帳などの写真がない書類の場合、追加で別の書類(公共料金の領収書など)の提示を求めるなど、より慎重な確認が必要です。

注意点②:有効期限のチェック

送信された本人確認書類の画像は、有効期限内であることを必ず確認し、古物台帳に記録した上で、その画像(またはコピー)を保管します。

注意点③:古物台帳への正確な記載

本人確認が完了したら、その確認方法(例:「運転免許証の画像送信と銀行振込」)と、使用した書類の種類を古物台帳に正確に記載しなければなりません。これが記録されていなければ、本人確認義務を果たしたことになりません。


4. ネット買取こそ行政書士によるコンプライアンス構築が必要

非対面取引における本人確認義務は、法律の解釈が複雑であり、特にフリマアプリやECモールなどのシステム上の制約がある中で、完璧に履行するのは容易ではありません。

  • どのプラットフォームで、どの確認方法が最も確実か?
  • どの情報を古物台帳に記録すれば良いか?
  • 買取業務を外部に委託する場合の責任範囲は?

当事務所にご依頼いただければ、お客様のネット買取のビジネスモデルに合わせ、古物営業法を遵守した「非対面取引マニュアル」の構築をサポートいたします。これにより、無許可営業のリスクを回避し、安心してネットビジネスを拡大することができます。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
古物商許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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