「行商」とは?許可証に「行商する」と書くべき理由

古物商許可を申請する際、申請書には「行商をしようとする者であるか、そうでないかの別」を記載する欄があります。
ここで「行商する」にチェックを入れるかどうかは、古物ビジネスの活動範囲に大きく影響します。
結論から申し上げると、ビジネスチャンスを広げるために、古物商が許可申請時に「行商する」にチェックを入れることを推奨します。
本記事では、古物営業法における「行商」の定義と、なぜ許可証に「行商する」と記載しておくべきなのかを、行政書士が詳しく解説します。


1. 古物営業法における「行商」の定義

古物営業法における「行商」とは、「許可を受けた営業所(店舗や事務所)から離れた場所で古物取引を行うこと」を指します。
具体的には、以下のような取引形態が「行商」に該当します。

行商に該当する主な取引形態概要
出張買取顧客の自宅や指定された場所へ出向いて古物を買い取る。
催事・イベントでの出店許可を得た営業所ではない場所(イベント会場、フリーマーケットなど)で古物を販売・買い取る。
デパートなどの短期的な催事出店期間限定で営業所外の場所で古物取引を行う。

2. なぜ「行商する」にチェックを入れるべきなのか?

もし許可証に「行商する」という記載がない場合、あなたは自分の許可を受けた営業所内でのみ、古物取引を行うことが許されます。上記のような出張買取やイベント出店といった、現代の古物ビジネスで不可欠な活動ができなくなってしまいます。

① 出張買取(お客様の自宅への訪問)が可能になる

近年、リサイクルショップやせどりの主要な仕入れルートとなっているのが、顧客の自宅へ訪問して行う出張買取です。
許可証に「行商する」と記載しておけば、営業所外である顧客の自宅に出向いて古物を買い取ることが合法的に認められます。

② ビジネスの機会を広げる(イベントや催事への参加)

アンティークフェア、骨董市、地域のリサイクルイベントなど、一時的な会場で古物取引を行うことが可能になります。これは、集客や仕入れの機会を大幅に拡大することに繋がります。

③ 許可取得後の「変更届」の手間とコストを削減

もし、許可取得後に「やっぱり出張買取を始めたい」と思っても、その都度、「行商をする」への変更届を警察署に提出しなければなりません。

  • 変更届には、申請時と同様に約40日程度の審査期間がかかります。
  • 変更届の提出自体にも時間と労力がかかります。

事業の拡大を妨げないためにも、最初から「行商する」にチェックを入れておくのが効率的かつ安全です。


3. 「行商する」にチェックを入れる場合の注意点

「行商する」にチェックを入れて許可を取得した場合、古物商として営業所外で活動する際に、守るべき義務が発生します。

義務①:行商従業者証の携帯(従業員がいる場合)

行商を行う従業員には、「行商従業者証」を作成させ、活動中は常に携帯させる義務があります。

  • これは、警察官などから提示を求められた際に、古物商の従業員であることを証明するためです。
  • 申請者本人が行商を行う場合は、許可証の写しを携帯することで代替できます。

義務②:顧客からの要求への対応

古物取引を行う顧客から、許可証の提示を求められた場合、拒否せずに提示する義務があります。


4. 申請前に行政書士に相談すべき理由

「行商する」にチェックを入れることは簡単ですが、特に賃貸物件を営業所にしている場合、警察署から「行商によって近隣に迷惑をかけないか」といった追加のヒアリングや、事業計画の提出を求められることがあります。
当事務所にご依頼いただければ、お客様のビジネスモデルに合わせた最適な申請内容を提案し、行商に伴う法令上の義務(行商従業者証の作成など)についても指導いたします。
あなたのビジネスの可能性を最大限に引き出すためにも、許可申請の段階から専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
古物商許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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