クーリングオフ制度と古物営業法の関係!出張買取の注意点

古物商が出張買取を行う際、避けて通れないのが「特定商取引法」に定められたクーリングオフ制度の適用です。
古物商許可を取得していても、出張買取という形式で一般の消費者から古物を買い取る場合、この制度の適用を受けます。制度のルールを理解していないと、後から大きなトラブルや損失につながる可能性があります。
本記事では、クーリングオフ制度の概要と、古物営業法における出張買取の特有の注意点について、行政書士が詳しく解説します。


1. 古物営業におけるクーリングオフ制度の概要

クーリングオフ制度とは?

クーリングオフ制度は、消費者が契約をした後でも、一定期間内であれば無条件で契約を解除できるという消費者保護のための制度です。
古物営業法自体にクーリングオフの規定はありませんが、古物商が自宅などに訪問して行う取引は、特定商取引法における「訪問購入」に該当し、この制度が適用されます。

適用対象

  • 取引形態: 古物商が一般消費者(事業主ではない個人)の自宅などを訪問し、古物を買い取る「出張買取」が対象です。
  • 適用期間: 契約書面(法定書面)を受け取った日を含めて8日間です。

2. 出張買取における古物商の2つの義務

クーリングオフ制度が適用される出張買取では、古物商には以下の2つの重要な義務が発生します。

義務①:法定書面(契約書面)の交付

古物商は、契約が成立した際、その場で法定書面(特定商取引法で定められた事項を記載した契約書)を顧客に交付しなければなりません。
この書面には、クーリングオフに関する事項(解除の通知方法、期間など)を赤字で目立つように記載する義務があります。この書面を交付した日を起算日として、クーリングオフ期間がスタートします。

注意: 書面に不備があった場合や交付を怠った場合、クーリングオフ期間はいつまでもスタートしません。消費者は、事実上、いつでも契約を解除できてしまう状態になります。

義務②:「先渡し」の禁止(売買契約成立から8日間)

クーリングオフ期間中の古物商の活動を制限する規定です。
古物商は、買取契約成立後、クーリングオフ期間である8日間は、買い取った古物を第三者に売却したり、引き渡したり、古物市場に出品したりしてはいけません。

  • 目的: 契約解除となった際に、速やかに古物を元の顧客に返却できるようにするためです。
  • 遵守事項: 買い取った商品は、この8日間は店舗や倉庫で保管し、「手元に置いておく」必要があります。

3. クーリングオフ行使時の古物商の対応

顧客からクーリングオフの通知があった場合、古物商は速やかに以下の対応を取る必要があります。

① 古物の返還

手元に保管していた古物を、顧客に返還しなければなりません。古物商は、返還に伴う送料や手数料を顧客に請求することはできません。

② 代金の返還

すでに代金を支払っている場合、古物と引き換えに、古物商は顧客から代金を返還してもらいます。


4. クーリングオフの適用除外ケース

以下の取引形態は、出張買取であっても、クーリングオフの適用除外となります。

① 顧客からの要請による訪問

顧客(一般消費者)から「自宅に来て買い取ってほしい」という明確な要請を受けて訪問した場合。

  • ただし、要請された品目以外を買い取る契約を交わした場合は、その部分についてクーリングオフが適用されます。

② 事業者からの買取

相手が一般消費者ではなく、法人や個人事業主である場合(例:会社の備品を買い取るなど)。この場合は、消費者保護の対象外となります。


5. コンプライアンス徹底のために行政書士へ相談を

出張買取をビジネスの柱とする場合、クーリングオフ制度への対応は避けて通れません。法定書面の作成や、8日間の在庫管理は、煩雑な業務ですが、これを怠ると行政指導や訴訟のリスクがあります。
当事務所では、特定商取引法に準拠した「クーリングオフ対応の法定契約書(買取書)」の作成指導や、8日間ルールの在庫管理体制の構築まで含めてサポートいたします。
安心して出張買取ビジネスを展開できるよう、コンプライアンス体制を構築しましょう。

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
古物商許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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