駐車場(自動車保管場所)の確保は必須?中古車販売の特有要件

中古車販売ビジネスを始めるにあたり、通常の古物商許可の要件(営業所、管理者など)に加えて、自動車の保管場所(駐車場)の確保という、自動車特有の問題があります。
「店舗とは別に駐車場は必要なのか?」「自宅の駐車場を使ってもいいのか?」といった疑問は、中古車販売を志す方の共通の悩みです。
結論として、中古車を扱う古物商(自動車商)は、原則として自動車の保管場所を確保しなければなりません。
本記事では、中古車販売(自動車商)がクリアすべき保管場所の要件と、通常の古物商許可とは異なる特有の注意点について、行政書士が詳しく解説します。


1. 自動車商(中古車販売)が保管場所を確保すべき理由

中古車販売を行う場合、古物営業法だけでなく、「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」が関係してきます。

① 古物営業法上の要請

古物営業法では、取り扱う古物を保管・管理する場所を明確にしておくことが求められます。自動車の場合、それが「自動車の保管場所」となります。

② 車庫法上の要請(公安委員会の確認)

中古車を仕入れた際、仕入れた時点でその車を登録し、適切な保管場所(車庫)を確保する義務が販売業者には生じます。この車庫の存在は、古物商許可の申請時、または事業開始後に、管轄の公安委員会(警察)が厳しくチェックする項目の一つです。


2. 保管場所(駐車場)確保の要件チェックリスト

確保すべき保管場所は、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

要件詳細な内容
① 営業所から直線距離で2km以内車庫法に基づき、自動車の保管場所は営業所(店舗または事務所)から直線距離で2キロメートル以内に位置している必要があります。
② 保管場所としての使用権限駐車場が自己所有であるか、または賃貸契約を結び、自動車の保管場所として使用する権限があることを証明する必要があります。(月極駐車場契約書、土地の登記簿謄本など)
③ 自動車全体を収容できる確保した保管場所は、販売車両の全体を収容できるスペースが必要です。
④ 道路外の場所である道路交通の妨げにならないよう、公道ではない場所でなければなりません。

ポイント:在庫台数と保管場所のバランス

申請時に、「最大で何台の在庫を保有する可能性があるか」を考慮し、それに見合った適切なスペースを確保しているかを確認されます。単に1台分の駐車場があれば良い、というわけではありません。


3. 中古車販売(自動車商)特有の注意点

中古車販売(自動車商)の許可申請は、他の品目(衣類、工具など)と比較して、特に申請内容が複雑になります。

① 品目の追加に厳格な審査がある

すでに古物商許可(例:道具類)を持っていて、後から「自動車」の品目を追加する場合、改めて上記の保管場所要件を満たしているか、厳格な審査を受けることになります。

② 販売方法による保管場所の要否

  • 店頭販売・ネット販売: 自動車を仕入れて在庫として保有する場合、保管場所の確保は必須です。
  • 買取専門・オークション出品専門: 顧客から買い取った車を、そのまま陸送でオークション会場へ直行させるなど、在庫として営業所に持ち帰らないスキームであれば、一時的な保管場所が不要と認められるケースもあります。
    • (ただし、このスキームが本当に可能か、警察署と詳細に協議する必要があります。)

③ 駐車場契約の難しさ

通常の月極駐車場契約では、「自動車の保管場所」としての使用しか認められておらず、「中古車の展示・販売」目的での使用を禁止している場合があります。駐車場契約と古物営業法の要件の両方を満たす契約書を準備する必要があります。


4. 自動車商の申請は行政書士への依頼が必須級

自動車商の古物商許可申請は、単に書類を作成するだけでなく、車庫法との兼ね合いや、警察署との詳細な事業スキームの協議が不可欠です。

  • 営業所と保管場所が2km圏内にあるかの正確な測量。
  • 駐車場契約書が古物営業の要件を満たしているかのリーガルチェック。
  • 盗品防止のための保管・管理体制についての説明書の作成。

これらの複雑な手続きや協議を代行することで、お客様は仕入れルートの確保や、開業後の集客戦略といったコア業務に専念できます。
中古車販売を確実に、そして合法的にスタートさせるためにも、ぜひ当事務所にご相談ください。


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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
古物商許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
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