ネットショップ(ECサイト)だけで中古品販売をする場合の許可申請【EC特有の注意点を解説】

実店舗を持たずに、BASEやSTORES、Amazon、自社サイトなどのECサイト(ネットショップ)だけで中古品販売を行うビジネスモデルが増えています。
「オンラインだけの販売なら、実店舗と違って古物商許可は不要では?」と考える方もいますが、それは誤解です。
結論として、ECサイトのみで中古品を販売する場合でも、古物商許可は「必須」です。
ただし、実店舗型の申請とは異なり、ECサイト運営ならではの特有の手続きと遵守事項があります。本記事では、ネット販売事業者が古物商許可を申請する際の重要なポイントを行政書士が解説します。


1. EC販売でも古物商許可が必須な理由とEC特有の2大論点

許可が必須な理由:中古品の「仕入れ」があるため

ECサイトで中古品を販売する場合、お客様(一般の個人や他の業者)から中古品を「買い取る」行為が必ず発生します。
この「買い取り」行為が、古物営業法で規制される「古物営業」に該当するため、EC専門の販売業者であっても古物商許可が必要になります。

EC販売特有の2つの注意点

ネット販売で特に注意すべきは、以下の2点です。

概要必要な対応
URLの届出古物の取引に使うECサイトのURLを、申請時に警察に届け出る必要がある。届出URLの使用権限の証明が求められる。
営業所の確保実店舗がなくても、古物取引の拠点となる住所(自宅、事務所など)を確保する必要がある。申請書類に拠点住所を明記。賃貸の場合は使用承諾を得る。

2. ECサイト運営者が押さえるべき許可申請のポイント

ネット販売事業者が許可申請を進める際に、特に厳しくチェックされるポイントが「URLの届出」と「営業所の確保」です。

ポイント①:届出URLの条件と証明方法

古物取引に利用するECサイト(ホームページ、フリマアプリのマイページなど)のURLは、許可申請書に記載し、申請者本人がそのURLを使用する権限を持っていることを証明しなければなりません。

サイトの種類証明に必要となる書類(例)
自社制作サイトサーバー契約書の写し、ドメイン登録証明書など
プラットフォーム利用BASE/STORESなど:マイページのURLを記載し、プロフィールの画面を印刷したものなど(各プラットフォームの利用規約に基づく)
ECモールAmazon/楽天市場など:出店者情報に古物商の氏名と連絡先が記載されているページの印刷など

注意: 申請者名義ではないURL(他人のアカウントや家族名義のサイト)を届け出ることはできません。

ポイント②:営業所の定義と自宅を営業所にする際の注意点

実店舗がなくても、事務作業や古物の保管、発送準備を行う「取引の拠点」として営業所が必要です。多くの場合、自宅住所を営業所としますが、以下の点に注意が必要です。

  • 賃貸物件の場合: 賃貸借契約書に「住居専用」と記載されている場合、大家さんや管理会社の「古物営業所としての使用承諾書」が必要となるケースが多いです。無断で申請すると、不許可になるだけでなく、トラブルの原因となります。

ポイント③:サイトへの古物商表記

許可取得後、届出たECサイト上には、以下の情報を一般の利用者に分かりやすく表示する義務があります。

  • 古物商の氏名または名称
  • 古物商許可証の番号
  • 許可を出した公安委員会の名称(例:東京都公安委員会)

3. 許可取得後のEC特有の義務(コンプライアンス)

ネット販売は対面取引ではないため、特に「本人確認」と「情報管理」に関する義務が厳しくなります。

① 非対面取引における本人確認義務

古物を買い取るとき、相手の身元確認は古物商の義務です。EC取引の場合、「非対面取引の本人確認方法」に従う必要があります。

  • 本人限定受取郵便で相手に現金書留を送付する
  • 相手の身分証明書(写真付き)のコピーを要求し、住民票の写しなどを送付させる
  • 相手名義の口座に振り込みを行う

など、対面時よりも手間とコストがかかりますが、これを怠ると法律違反となります。

② 古物台帳のデジタル管理

ネット取引であっても、いつ、誰から、何を、いくらで買い取ったか、という情報を古物台帳に記載し、3年間保存する義務があります。台帳は紙である必要はなく、エクセルなどのデジタルデータで管理しても問題ありません。


4. ネット販売こそ行政書士へ依頼すべき理由

EC販売における古物商許可申請は、実店舗型よりも「URLの証明」「営業所の承諾」「非対面取引のコンプライアンス」など、法的な解釈や準備が複雑になります。

  • 「どの書類でURLの権限を証明できるか?」
  • 「賃貸契約書でどこまで許容されるか?」

といった、判断に迷うグレーゾーンが多発します。
当事務所にご依頼いただければ、ECサイトの状況を詳しくヒアリングし、URL届出の確実な方法を指導し、許可取得後のサイトへの正しい表記方法までサポートいたします。
複雑な手続きはプロに任せ、あなたは販売戦略と仕入れに集中し、迅速かつ合法的にECビジネスをスタートさせましょう。

「古物商のページを見た」とお伝えください。ご相談は無料です。070-8490-7268受付時間 8:00-20:00 [ 土日祝日も対応 ]

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この記事を書いた人

行政書士古川俊輔
行政書士古川俊輔
古物商許可専門の行政書士
埼玉県で地域密着対応
平成生まれの若さを活かしたフットワークの軽さが強み
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